第5回ネットライフ調査

日経MJが定期的に調査・発表している「ネットライフ調査」をもとに、最近の若者のネットライフ・トレンドを紐解いていきたいと思います。

全体的な動きとしては、
●インターネット経由の消費額は6.4%減少
●動画・音楽などのエンタメコンテンツは約7割が利用

といった統計が目立ちました。このように、ネットを通じてショッピングなどを楽しむ人が若干減ったのに対して、動画や音楽などのコンテンツ自体を楽しむ人が増えてきた傾向にあります。

動画・音楽などのエンタメコンテンツを楽しむ人は69.7%で、1年前に比べると3.8ポイント増加しました。その中の内訳を見てみると、

●動画(YouTubeなど)   62.5% ←前年比4.3ポイント増加
●ゲーム(ポケモンGOなど) 25.6% ←前年比5.8ポイント増加
●音楽(iTunesなど)    15.3% ←前年比2.1ポイント増加
●書籍(キンドルなど)   11.4% ←前年比2.8ポイント増加

となっており、上記どのコンテンツにおいても前年よりも利用して楽しんでいる人が増えていることが分かります。これらのサービスは無料コンテンツも多いので、利用者の平均消費額でいうと、いずれも1ヶ月に数百円程度になっています。

利用時間(休日1日)で見てみると、
●動画(YouTubeなど)   約60分
●ゲーム(ポケモンGOなど) 約80分
●音楽(iTunesなど)    約30分
●書籍(キンドルなど)   約30分

となっていて、若い世代ほど利用率が高いことが分かりました。つまり「スマホ世代」といわれる今の10代は、動画を筆頭としたエンタメコンテンツを使いこなし、それに多くの時間を割いている、ということになります。

動画・音楽・書籍アプリの「3強」

また目立った動向として10代に突出して人気の「3強」と言えるサービスがあります。

●動画 AbemaTV(アベマTV)
●音楽 LINEミュージック
●書籍 COMICO(コミコ)

この「3強」は特に利用率が高く、10代を中心に人気があることが分かりました。

AbemaTV(アベマTV)はサイバーエージェントとテレビ朝日が共同で開設した無料ネットテレビ局です。スタートから半年ほどで1000万ダウンロードを突破したメガコンテンツに成長しています。

YouTubeがユーザー検索型の動画コンテンツに対して、AbemaTV(アベマTV)はタイムテーブル型の動画コンテンツになっているため、検索に疲れたユーザーが、だらだらと流し見ができる動画として人気を博しています。

LINEミュージックは、音楽をただ聴くだけではなく、「交流ツール」としての機能を発揮しています。LINEのプロフィール画面にLINEミュージックを使うと、ここに好きな曲を流すことができます。こうすることで友人や恋人とコミュニケーションを取ることも楽しみの一つになっているのです。

COMICO(コミコ)は、書籍サービスを利用している10代後半の半数以上が利用しているというのですから驚きです。オリジナル作品が毎日10〜20本配信されるのも魅力の一つになっています。

一般的に有名な漫画は読むことができませんが、「友人に勧められたから」「掘り出し物のマンガが見つかるから」といった理由で、多くの高校生が利用しています。

漫画家からすれば出版社を通さないといけないというハードルが一気に下がり、誰でも平等に売れるチャンスが与えられるということなのでメリットも多いでしょう。ここから生まれた「ReLIFE(リライフ)」は書籍化して140万部発行のヒット作になりました。

まとめ

このように「スマホ世代」といわれる10代は、スマホのエンタメコンテンツを大いに活用し、友人や恋人とのコミュニケーションに活用していることが分かります。

どちらかというと、ユーザー自ら検索しなくてはいけないコンテンツより、コンテンツ側から配信してくれるサービスの方が好まれる傾向にあるようです。情報が溢れかえっている現代では、いわゆる「検索疲れ」もあるのかもしれません。

気軽に友人・恋人と共有できたり、同じコンテンツについて語り合ったりできるサービスが、今後も若者世代のハートを掴む「鍵」になると感じます。